1830年にポーランドに生まれた Theodore Leschetizky は、ベートーヴェンの弟子であるカール・ツェルニーにピアノを習い、同門のリストと共に、ピアニストの黄金時代を担うヴィルトゥオーゾたちを数多く輩出した名教師となった。リストの弟子達に共通要素が無かった事に反し、Leschetizky の弟子達には独特な艶の音色を共通して持っていた。Leschetizky はメソッドを持っていなかったと自ら告白しているが、生徒の欠点に対する対策を具体的に提示し、教えることが出来た。弟子達はよく歌うその美しい音色を活かし、ロマン派の作品大いに演奏した。
「もし興味があれば平均律ピアノ曲集(バッハ)を弾いてみるのも良いだろう。しかしベートヴェン、シューマン、ショパン、リスト、ブラームスがあるのに、どうして君はそれに時間を浪費するんだ?」と、現代では想像できない様な事を言い放った Leschetizky だけに、ロマンティックなショパン弾きを多く輩出した。なかでも有名なのは、Paderewski、Slivinski、de Radwan、Friedmann、Moiseiwitsch、Brailowskyで、数多くの名演を残している。ポーランド生まれのAuguste de Radwanは、エラールのピアノを使って仏Ultraphoneに78rpmを1930年頃に残しているのは幸いである。ショパンのマズルカ、ワルツ、エチュード、プレリュード、協奏曲からの抜粋の独奏のほか、リスト、シュトラウス=グリュンフェルト、ブラームスを残している。ラドヴァンのレコードに古いエラールのピアノの響きを聴くことが出来るのはとても興味深い。
またLeschetizky 本人や何人目かの妻でもあった Essipova のショパン演奏もピアノロールで聴くことができる。Leschetizky の「夜想曲第8番変二長調作品27-2」は、優雅なスタイルのロマンティックな演奏で、楽譜にない装飾音を聴ける。これは、カロル・ミクリの様にショパンの手稿を見た事のあるピアニストの演奏に基づいている。門下生 Arthur Shattuck の1940年代のプライヴェート録音(アセテート盤)にも同曲が残されているが、ほぼ同じ装飾音で演奏されていた。師の衣鉢を継ぐ名演奏であり、ショパン演奏の歴史的資料としても貴重である。この録音は後年プライヴェートなLP盤で復刻されていた。
さて Leshetizky は相当数の弟子に教えており、全てを挙げることは出来ないが、何らかの形でレコーディングを残した弟子達を下記の表に纏めてみた。ちなみに右端は録音フォーマットであり、78rpmを残したピアニストは、ほとんどピアノロールやアセテート盤によるプライヴェート録音も残している。その他のステイタスのピアニストは、他のフォーマットを残していない場合がほとんどと思って見て頂きたい。
| Theodor Leschetizky |
(1830-1915) |
Piano Roll |
| Annette Essipova |
(1851-1914) |
Piano Roll |
| Ignace Jan Paderewski |
(1860-1941) |
78rpm |
| Louis Ree |
(1861-1939) |
78rpm |
| Fannie Bloomfield-Zeisler |
(1863-1927) |
Piano Roll |
| Josef Slivinski |
(1865-1930) |
Piano Roll |
| Auguste de Radwan |
(1867-1957) |
78rpm |
| Mary Hallock Greenewalt |
(1871-1950) |
78rpm |
| Katharine Goodson |
(1872-1958) |
Private |
| Franz Schmidt |
(1874-1939) |
Private |
| Ernest Schelling |
(1876-1939) |
Private |
| Isabelle Vengerova |
(1877-1956) |
Piano Roll |
| Ossip Gabrilowitsch |
(1878-1936) |
78rpm |
| Mark Hambourg |
(1878-1960) |
78rpm |
| Frank La Forge |
(1879-1953) |
78rpm |
| Richard Singer |
(1879-1940) |
78rpm |
| Severin Eisenberger |
(1879-1945) |
Private |
| Gottfried Galston |
(1879-1950) |
Piano Roll |
| Richard Bühlig |
(1880-1952) |
Private |
| Arthur Shattuck |
(1881-1951) |
Private |
| Henry E. Geehl |
(1881-1961) |
78rpm |
| Michael von Zadora |
(1882-1946) |
78rpm |
| Ignaz Friedman |
(1882-1948) |
78rpm |
| Arthur Schnabel |
(1882-1951) |
78rpm |
| John Powell |
(1882-1963) |
78rpm |
| Elly Ney |
(1882-1968) |
78rpm |
| Edwin Hughes |
(1884-1965) |
Piano Roll |
| Edwine Behre |
(1884-1979) |
? |
| Ethel Leginska |
(1886-1970) |
78rpm |
| Frank Merrick |
(1886-1981) |
78rpm |
| Marguerite Volavy |
(1886-19??) |
Piano Roll |
| Paul Wittgenstein |
(1887-1961) |
33rpm |
| Benno Moiseiwitsch |
(1890-1963) |
78rpm |
| Czeslaw Marek |
(1891-1985) |
? |
| Paul Schramm |
(1892-1953) |
78rpm |
| Jan Cherniavsky |
(1892-1989) |
78rpm |
| Mieczyslaw Horszowski |
(1892-1993) |
78rpm |
| Ignace Tiegerman |
(1893-1968) |
Private |
| Alexander Brailowsky |
(1896-1976) |
78rpm |
| Aline van Barentzen |
(1897-1981) |
78rpm |
| Marie Novello |
(1898-1928) |
78rpm |
| Franciszek Lukasiewicz |
(1???-19??) |
78rpm |
これらの Leschetizky 門下生達もまた、様々なピアニストを育てた。その弟子達もまた・・・・。そうして現代まで、ベートーヴェンを源流にもつピアニズムの系譜は、脈々と続いているのである。
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Annette Essipova

Ignace Jan Paderewski

Mark Hambourg

Edwin Hughes

John Powell
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