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ピアノの歴史的録音を取り巻くさまざまな雑記です。

意外と簡単、SPレコードの再生方法①

SPレコードってなんじゃらほい?

そもそもSPレコードって何?といいますと、皆さん映画などで観たことがあるラッパ型のホーンスピーカーを持った、あのレトロな蓄音器でかける専用のレコードなんです。これはLPレコード(12インチ ヴァイナル)が一分間に通常33.3回転(33.1/3rpm)するのに対して、SPレコードは78.26回(78rpm)もの高速で回転するのです。

通常のアナログ盤がヴァイナル=Vinyl盤と呼ばれる通り、ビニールを原料として割れにくい性質に対して、SPレコードはシェラックを原料にしており瀬戸物よりも割れやすくデリケートな性質のレコードとなっています。

本来SPレコードは蓄音機で再生するものですが、私は蓄音機では再生しません。通常のアナログ盤同様に、78rpm対応のタンテとカートリッジでしか再生はしないのです。なぜか?と言うと、蓄音機の針と激重い針圧で再生するたびに、SPレコードは表面を削られて摩耗し劣化するからです。特に歴史的な史料価値のあるレコードは、絶対に蓄音機では再生しません。たまに絶対にすり減らないという人もいますが、確実に経年の激しいSPレコードにダメージを与えます。ぜひこれはお願いですので覚えておいてください!

SPレコードは古いものだと120年前にプレスされたものから存在しますが、1950年代まではまだ生産されていました。それでも70年も経っている骨董品です。これらの中には、大量にプレスされたものから、現存数の極めて少ない貴重な音楽資料が混在しています。
私がカートリッジ再生にこだわるのは、なるべく劣化させずに音源をデジタル化して未来へ遺したいという気持ちと、そして何よりカートリッジ再生の音質の方が断然好きだからなのです。

SPレコードファンの方の多くが蓄音機再生こそ本来の姿というポリシーをお持ちです。
確かにレトロなムードを楽しむなら、断然に蓄音機が良いと思います。
が、レコードの溝に刻まれた情報を余すことなく再生し、そして遺すには、圧倒的にカートリッジ再生が適しています。

SPレコードを悪い音、酷い音と感じる方はそのノイズの多さが理由だと思います。だから、レンジの狭い蓄音機で再生すると、高域のノイズを上手く再生出来ない事が幸いしてノイズの目立たない柔らかく暖かいムード満点の音質になります。また、大きなホーンスピーカーを持った高級な蓄音機は再生音もかなり大きいので、迫力があり目の前で演奏しているかの様な生々しさを感じ易くなります。

しかし、レンジの広いカートリッジ再生では、高域にある楽器の余韻や空気感などがきちんと再生され、ノイズが目立っても音の抜けの良さやリアリティは断然上なのです。

そして何よりも、あなたが使っているターンテーブルに78rpmモードがあれば、あとはSPレコード専用の針先かカートリッジを付け替えるだけで簡単にレコード再生出来てしまいます。

アナログ盤ブーム再来で最近ターンテーブルのラインナップが賑やかです。新製品のいくつかには78rpmレコードに対応したモデルが結構ありますね。寧ろ、アナログ盤が現役だった頃よりコンシュマー向けの対応機種が多いかも知れません。しかし、33 ⅓ rpmのLP盤や45rpmのシングル盤(通称ドーナツ盤)は聴いても、78rpmのSPレコードを楽しんでいる人はまだ少ないのではないでしょうか?

折角、タンテが78回転モード対応なのですから、ぜひぜひ究極のアナログ盤であるSPレコードの世界をぜ楽しんで欲しいと思っているです‼️

さて、次回は、どこでSPレコードを買えるの?、どんなカートリッジがオススメ?、フォノイコライザーって何?、など、より実践的なお話をしたいと思います。お楽しみに。

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