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ピアノの歴史的録音を取り巻くさまざまな雑記です。

意外と簡単。SPレコードの再生方法②

SP再生用のカートリッジを選ぼう!入門編

78回転モード付きのターンテーブルをお持ちなら、あとはカートリッジだけでとりあえずのSPレコードの再生は可能になります。

オーディオテクニカは、SPレコード用のカートリッジをずっと発売し続けてくれている良心的なメーカーです。手軽な価格ですが、扱いやすく、針交換も安定供給が期待できるので入門編として安心してお勧めできます。付け加えますと、良い音を求めるならばやはり上位モデルの方をお勧めします。

LP用カートリッジ、SP用カートリッジの違いは針先だけ

実はLPレコードとSPレコードのカートリッジは基本的には針先の太さだけです。しかし、ちょっと混乱を招くと思いますが敢えて触れておくと、モノラル仕様かステレオ仕様かという違いはあります。例えばステレオ仕様のカートリッジにSPレコード用の換針を装着したとします。レコードの溝にあった太さの針先なのでSPレコード盤を痛めたりする心配はありませんが、ステレオ使用のカートリッジなのでL(左)とR(右)の両チャンネルから別々の音がスピーカーから出てきてしまいます。これをフォノイコライザーやプリアンプで、モノラルミックスにしてあげないと、モノラル再生にはなりません。これはモノラルLPの再生でも当てはまります。

要するにLPレコードとSPレコードの違いは、

  1. 回転数(通常、LPレコード33.3rpm, 45rpm、SPレコード78rpm)
  2. レコードの溝の幅 (通常、LPは0.5mil~1.0milくらい、SPは2.0mil~4.5milくらいまで)
  3.  LPレコードはステレオとモノラルの両方があり、SPレコードはモノラルのみ

ということになります。針先の太さがまずは最重要ポイントだとわかっていただけたでしょうか。

フォノイコライザー? どうしよう。

あなたのアンプの裏側には「PHONO入力端子・アース端子」が付いていて、そこにターンテーブルの出力コードを繋いでレコードを聴いていると思います(フォノケーブルのアース線も必ずつないでください)。
この場合、フォノイコライザーはアンプに内蔵されていることになります。
ターンテーブルからの出力端子を通常のライン入力に繋いでも小さなシャリシャリ音でしか再生されません。大雑把に説明すると、録音するときにイコライザーを通してあり、再生の時には逆相のイコライザーでフラットな特性に戻す必要があるからです。
ほとんどの場合、LPレコード用に規格されたRIAAカーブ専用となっていますが、とにかく手早くSPレコードの音が聴ければ良い、ということでしたらもうこれでOKです。
お手持ちのアンプにトーンコントロールがついているなら、自分の好みに音質の調整をするとさらに良いでしょう。

と、ここまでがSPレコードの簡易再生のお話です。
さらにSPレコードのポテンシャルを追求したい場合は、SPレコード専用のイコライザーカーブに対応した外部のフォのイコライザーなどが必要となります。そいういう向きにはイコライザーカーブ沼が待っておりますので、別の機会にお話ししましょう。

早速、SPレコードを買ってみよう!

我が家のレコードは、9割がSP盤、残りの1割がLP盤です。
なぜSPレコードばかりなのか?
答えは、

「好きだから」です。

同じアナログレコード盤でも、随分と違うんです。こればっかりは体感してもらわないと伝えられません。
まずは好きなレコードを一枚だけ買ってみてください。
最初の一枚は、お店で実物を手に取って、そして試聴してみて、買うことをおススメします。

私が初めてSPレコードを買ったのは30年前。神田の神保町のビル9Fにある富士レコード社さんという中古レコード専門の老舗です。
きっかけは、SPレコードのLP復刻盤には復刻されていないピアニストの演奏をどうしても聴きたくなったからです。
たくさんのレコードの中から選んだのは、Irene Scharrer(1888-1971)というロンドン生まれの女流ピアニストが演奏するショパンの「夜想曲 第13番 ハ短調 作品48-1」でした。
英国HMVレーベルのDシリーズ、通称「黒盤」(レーベルの色)で、この曲における1916年世界初録音レコードでした。これはアコースティック録音と呼ばれるマイクとプリアンプといった電気的な機材を介さない古いものです。ゆえに再生音はか細く、初心者にはちょっとハードルの高い代物でしたが、いまだに買った当時のまま現役で昔よりも上手に鳴らすことができています。富士レコード社さんは近くに3階建ての本店もありますが、SPレコードを買うなら、まずは広くて品揃え豊富な9F建てのビルにある店舗をお勧めします。

東銀座にあるシェルマンさんもオススメのSPレコード店です。こちらはコンディションの良いものを選んで取り揃えており、特に有名な巨匠の綺麗なレコードを買い求めるのに向いています。銀座でランチをしたあと、歌舞伎座の裏あたりまで散歩しながらSPレコードを探しに行くのが通例になっています。ちなみに、とても割れやすいSPレコードを買ったら寄り道せず帰宅するので、ランチをまず済ませてから伺うことにしています。これ、結構大事なポイントですよ!

なかなかお近くにSPレコードを扱っている店がない場合、通販やヤフオクという手段もありです。もちろん上記の2店舗でも通販は可能ですので、ますは専門店で通販を利用をお勧めします。

ヤフオクを利用する場合は、ある程度のリスク覚悟で安いレコードをテスト的に購入してみることをお勧めします。
失敗しないポイントは、その出品者が過去にどれだけSPレコードを販売して破損トラブルを起こしていないかを取引の履歴で確認することです。
中にはビニール素材のLPレコードと、瀬戸物よりも脆いシェラック素材のSPレコードの違いを理解せず梱包している出品者もいるので、その場合の多くは破損して届くことが多いのです。これは全方向の悲劇なのです。

更には、SPレコードをたくさん売った履歴のある出品者でも、稀に肝を冷やすような、安全性の低い梱包で届くこともあります。

つい先日、数万円で落札した割と高額なレコード数枚が、すべてスリーブにすら入っていない状態で直重ねの梱包で届きました。それでも無事に届いたのでラッキーでしたが、もう私がこの出品者から高額なレコードを落札することはまずないでしょう。

SPレコードの梱包は、どれだけ万全を期してもやりすぎということはないのです。100年近くを生き抜いてきたSPレコードの命を奪うような梱包にはもはや憎しみすら感じます(笑)

ですので、まずは長年SPレコードを取り扱ってきた専門店に出向いて、そこで店員さんからアドヴァイスをもらったりしてお気に入りの1枚をゲットしてみることを強くお勧めいたします!

次回は、さらに良いSPレコード再生音を得るためのポイントをお話します。

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